「旅」をテーマに制作!
今年もコラージュをやろうかと思っていたのですが、たまたま画集を見ていたら、懐かしい絵に出くわしたので、それを見ていたらなんだか旅をテーマに絵を描いていくのがいいんじゃないか?と思い、一転ワークショップの今月のテーマを「旅」にすることに勝手に決定!
で、その懐かしい絵なんですが、これです。
あまり知っている人いないかもしれませんが、ブリューゲルというフランドルの画家が描いた「イカロスの墜落」という絵です。
この絵は何か不思議な絵で、タイトルにある「イカロスの墜落」という主題が最初に見えてくる絵ではなく、まずは手前の農夫が目に入り、そこから雄大な広がりを持つ風景へと視線は導かれる。登場人物たちは、それぞれ自分のいつもの生活を送り、誰もイカロスが海中に落ちていることには気づいていない。そんな牧歌的な世界が果てしなく広がっている絵なんですね。ネーデルランド地方に伝わる諺に「人が死しても、鋤は休まぬ」というのがあるらしく、この絵にはそんな意味も込められているのかもしれない。
ただ、画面右下にいるイカロスの下半身には、最終的に目が向けられ、その異質な形態に、何だろうと思ってしまう。画面は対角線の効果や大小の面積対比を巧みに使って、この牧歌的風景の広がりとともに視線をイカロスへと導いているんですね。
というわけで、6月のアカデメイアの火曜日と水曜日のワークショップでは、旅をテーマにした絵を制作していきます。
旅といっても、実際に旅先で描いたスケッチをもとに描いてもいいし、旅の思い出を膨らませて作品化してもいいし、想像の旅を想い描いてもよいでしょう。自由な発想でどんどんやっていきましょう!
2009/06/03
K
ワークショップでやっていること。
アカデメイアコースのみなさんと一緒にワークショップというものを隔週で行っているのですが、そこでは「家」「動物園」「グリザイユ技法」「アトリエの仲間」「私の世界」など、さまざまなテーマでみなさんに絵を描いてもらっています。
テーマといっても、絵を描くためのとっかかりというか、あくまでも、そこから先は描く人の自由な発想やモチーフの選択でやってもらっている感じです。
そんななか、とても楽しかったのは、「私の世界をコラージュで表現する」というワークショップをやったときです。
自分の絵画主題を見つけるきっかけにと、みなさんに自分の好きな雑誌や色紙や写真などをB2のボール紙に貼り付けてもらいました。「えー、よくわかんない?」などといいながらも、作業が開始されましたが、けっこうみなさん楽しんでいたようでした。
で、当然のことながら、みなさん持ってくる写真も雑誌も違うし、色合いも貼り方も違います。
出来上がったものをみんなで並べて見たとき、それぞれの画面がそれを作った人の個性に彩られているなと、予測はしていたもののいざ並べてみると興味深いものでした。みなさんも他の人の作ったものと自分の作ったものの違いに驚くと共に「やっぱり○○さんらしい」と作った人と作品の共通性に納得していました。
単に何気なく好きなものを貼り付けていても、やはりその人なりの感覚が働き、その人の趣味、嗜好が出てきます。なにげにやっている分、よけい心の深いところにアクセスするのかもしれません。
その後、そのコラージュをもとに、各自「私の世界」をテーマに絵を描いてもらいましたが、コラージュで自分らしさの一端をかいま見たあとなので、とても面白い作品が出来上がったのを覚えています。
最近は、このコラージュ毎年やってもいいのでは?と思いはじめ、早速6月のワークショップでみなさんに話してみようかと思っています。
2009/06/01
K